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<<   作成日時 : 2009/02/04 12:15   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 56 / トラックバック 0 / コメント 7

(実務基礎マスター 刑事事実認定  第10回 丹野講師より)


 強姦事件は、犯罪の性質上、あまり生々しい事案を試験問題で書くということは、考査委員も躊躇されるかと思いますので、それほど出題可能性は高くないかもしれません。


 ただね、承諾の認定に関して、あるいは、暴行脅迫の程度の認定に関して、強姦以外の犯罪で問題となりうるところがありますから、そこで応用をきかせていただく力をつけていただきたい意味もありますので、講義でもある程度取りあげたいと思います。


 しかし、そうであるならば、たとえば住居侵入とか、他の題材で、承諾の認定をやればいいじゃないか。なぜわざわざ強姦に関する被害者の承諾の勉強をしなければならないんだ?というご意見もあるかもしれません。


 でも、やっぱり、実務的にね、強姦に関する、被害者の承諾の認定が、一番問題になるわけですよ。


 僕も、弁護士として、否認事件をたくさんやらせていただきましたけれど、その中で強姦や強制わいせつの占める比率って極めて高いですね。べつに選んでやりたくてやってるんじゃないんだけど、否認事件なんかを頑張ってやろうとするとね、強姦や強制わいせつの事件がたくさん来るんだよね。


 ここから先は、あまり言うと、すごく人格を疑われたりしたらいやだなとも思うけれど、お話しておきたいことがあります。


 強姦や強制わいせつの否認事件というのは、暴行・脅迫の程度を争うこともあるけれども、被害者の承諾の有無で争うことの方が圧倒的に多いです。被害者とされる人の承諾があれば、それは強姦になるわけがないのであります。保護法益は性的自由ですから。性的自由を侵害していなければ、強姦になりえない。


 で、何で承諾が争われるのか?ここから先の話は、強姦事件に関する刑事弁護のイメージを持ってもらうための話ですよ。決して僕が、強姦事件や、ましてや強姦の被害者を揶揄しようという気持ちは全くない。そうではなくて、実務で、何で承諾が問題になるのか???というイメージをつかんでいただきたいからあえてお話しするんですけれどね。


 一言で言うと、犯人として疑われる、そういう人の、うぬぼれなんだよね。


 たとえばね、ある強制わいせつの事件ですけれども、デパートの店員、化粧品売り場かなんかの女性店員ですよ、その人にしつこく色々絡む男がいる。それが私の弁護した被告人です。


 化粧品売り場のその店員さんは、しつこく絡まれて、泣きたくなるぐらい嫌な思いをするわけですよ。それで、でもデパートだから、あまりきつく対応できない。

 
 で、「この女の子の対応が悪い」って、男が怒り出してね。何か、応接室みたいなところで話をさせろといって、しょうがないなと上司などもいって、別室に移動する。そこで、二人だけで部屋に入って、カギをかけちゃうんだよね。で、わいせつ行為を働く。


 そんなの誰が見たって有罪だと思うかもしれないけれど、その事件で、「いや、承諾があった」って被告人は言うんだよ。その被告人の顔も名前も、今でも私はよく覚えています。「いや、この女の子は、僕が部屋の中で行ったわいせつ行為を、全然拒否しなかったし、応じてましたよ」とかって言うんですよね。


 弁護人の立場を離れて、本音で個人としての感想を言うならば、「おまえ、ふざけるな」という感じですよ。デパートで化粧品売り場でギャンギャンクレームを言って、別室に連れ込んで、わいせつ行為をされて、喜ぶ女の人がいるわけがないじゃないか、といいたいですよね。


 だけどね、その被告人は、本当に本気で、真顔で、承諾があったといっているんです。どうもね、ただの言い訳じゃなくて、心底そう思っているんだ。


 こういう、男がうぬぼれて、自分がアプローチすれば女性が、姦淫行為やわいせつ行為に応じるんだ、と思い込んでいるバカ、バカといってしまってはいけないですが、そういうケースがあるんですよ。客観的に誰が見たって承諾があるはずがない、だけどもちろん、承諾がないということについて認識がなければ故意がないですよね。そういう認識がないといって争う。本当にこいつが心底うぬぼれていて認識がないなら、それは少なくとも錯誤ですよね。


 そういった事件は、刑事事件だけではなくていわゆるセクハラ事件などでもね、ハラスメントを受けている職場の女性は面と向かって言わないが、上司である男が、それをいいことに、うぬぼれて、この子は俺に気があるなんて思って、へんなことをして。そんなゆがんだ女性観、恋愛観というものが問題となる事案が多いことは知っておいていただきたいと思います。(後略)


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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
おっしゃる例は単なる違法性の錯誤の問題で故意を阻却しません。外形的に暴行・脅迫が認められれば犯罪は成立します。

考えても見てください。「殴って欲しそう、殺して欲しそうに見えたので、殴った、殺した」だけで直ちに同意ありで故意なし、になるわけがないでしょう?

2009/12/26 21:31
ん?
人を殴る自由は保護されてないけど、セックスする自由は保護されていて、そこで、承認が問題になってるんじゃないの?

相手がどうぞ私を殴ってください、っていって殴っても傷害罪になるけど、どうぞsexしてくださいって言われてやっても、犯罪にならないとか
happy_siro
2009/12/26 23:05
色んな方を弁護しないといけない弁護士さんていうのも因果な商売ですね。
常識から照らして明らかに、主張おかしい人でも、その人の主張をもとに弁護をしないといけない。
この家宅侵入と同様の強姦の承諾理論は、セクハラ、パワハラの説明で私も知りました。被害者と本人との主張が180度違う時にどう判断されるのか、難しい問題ですね。
ちゅん☆8823
2009/12/27 08:29
個人的法益に関する罪(強姦・傷害)の処分に被害者の同意がある場合は基本的に犯罪不成立でしょう。
被害者の同意を違法性阻却事由と解した場合、
これがないのにあると誤信して行為に及んだ場合は、少数説に立たない限り「違法性の意識の可能性」の有無で故意または責任が阻却される可能性があります。
今回の場合は違法性の意識の可能性はあったと考えられるため犯罪成立する…と私なら考えます。
sho
2009/12/28 01:05
コメント欄を乱してすみません。上の書き込みの訂正です。
違法性阻却事由に錯誤があった場合、単に事実の錯誤とされる場合は単純に故意または責任が阻却されます。同意の要件に関する法律上の評価の誤りの場合のみ違法性の意識の可能性の問題となる可能性があります。
今回は同意の存在という事実の錯誤の場合だと思われます。
実務家の方に講釈をたれる様な真似をしてお恥ずかしい限りです
sho
2009/12/28 01:23
年の瀬に、皆さまからご丁寧な疑問や補足いただいていて恐縮です。しかし、全然ついて行けない私はやっぱり法律家に向かないのか?頑張らねば・・・。
お掃除おばさん
2009/12/31 10:06
まだそーするクズ野郎が出るに違いない・・・
くそっ、言いたくは無いが、どれもこれも全部政府と警察と加害者たっ!!
ちっ、まだこの国にいるのか・・・。俺が氏んだ暁には末代までたたってやる・・・
そして断末魔の間際にこういうのさ・・・。「貴様等!まだ生きているのか!!。ネズミ一匹残らずブッ殺してやる!!!」とな
MSFアサシン隊員
2011/03/22 00:57

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